先週の土曜日、ヘルパー2級の養成講座で「排泄」についての講義を
させていただきました。
講義の前に受講生の皆さんにオムツでの排泄体験をして
その結果と感想をアンケートで記入していただきました。

27名の方の貴重な体験を聞かせていただいたわけですが、
殆どの方は不快感や屈辱感を感じられています。
中にはどうしてもオムツで排泄することができなかった方もいます。
その代わりにお湯を沁み込ませて装着してみたという方もいました。
今回のアンケートで私が一番考えさせられた答えは
「つけるのも嫌でできませんでした」という答えでした。

私は今までに10回以上のオムツでの排泄体験をしました。
慣れてきたのか、一晩濡れたオムツをつけて寝てみたり
オムツの上から緩めのジーパンを履いて犬の散歩に行ったり
いろいろな体位で排尿してみたりと随分平気になってきました。

ところが装着するのも、はずすのも自分でしかやったことがありません。
人にやってもらうことにはとても大きな抵抗があります。

オムツを肌につけるのもいやな人。
どうしても排尿できなかった人。
人につけてもらうのがいやな人。

十人いれば十人の価値観があり
それぞれ拘ることが違うのだと思います。
その人それぞれの思いを尊重し、ケアに当たること、それこそが
尊厳を守るということなのではないでしょうか?

かく言う私もたくさんの失敗を重ねてきました。
浣腸していいお通じがあったので「いい便がたくさんでましたよ」
そう言うと「そんなこといちいち言わないで!」
そんなこともありました。

失敗から学びながら、奢ることなく学び続けなくては
ならないのでしょうね。



2009.11.23 Mon l 日々の思い l コメント (0) トラックバック (0) l top
このブログを始めるにあたって、週に1回は更新しようと思っていたのですが
ここのところ公私ともに慌しく、久しぶりの更新になってしまいました。

看護協会出版会という出版社の雑誌「コミュニティーケア」
2010年1月号の原稿を書いて、ついさっき送ったところです。
開業ナースの特集で、開業までの準備や内容、抱負や開業のすすめなどについて書きました。

私のような超個人事業者が開業のすすめなんていいのかなあ、と思いながら
悶々と悩みつつ、やっと書き上げました。
もし、興味のある方がいらっしゃったら来年の1月号をご覧ください。
私のほかにも何人かの看護師の方の記事が載るようです。

私事ですが、実はつい先日は姪の結婚式でした。
23歳の花嫁は満開に咲く花のように華やかで幸せそうで
参列した私たちにも幸せの花びらが降り注ぐようでした。

そこで考えたことがあります。
結婚とは全く関連はない話なのですが。

「プロの技」ということです。
私は着物を着るのが好きで、この日も自分で訪問着を着て行ったのですが
私の娘の振袖を着付けする技術はないので
私の着付けの先生に娘の着付けをお願いしました。

先生の無駄のない動きや帯を締める時の音の透明さ。
鮮やかとしか言えません。
ほれぼれとします。
着慣れない娘ですが、ほぼ一日着ていても着崩れることなく
締め付けられることもなく、むしろ「背筋がしゃんとする」そう言っていました。

他の人の着付けをみるとその差は歴然としています。

その時に思い出したのは(何故そんなことを思い出すのか不思議ですが)
尊敬するB看護師の手つきでした。
静脈注射をするときの彼女の手の動きは同じようにきれいで
失敗がありません。
注射針がすうっと皮膚に滑り込んでいくようにさえ見えます。

プロの技の確実性には美しさが感じられます。

介護の場面でもきっとあるはずです。
経験だけではなく、努力や準備や訓練や鍛錬。
物の選び方など、自分の仕事にどれだけ真摯に取り組んでいるかが
問われるのだと思います。

言葉は適切ではないかもしれませんが
「美しい看護」
「美しい介護」
私は求め続けていきたいと思っています。

2009.11.11 Wed l 介護への思い l コメント (2) トラックバック (0) l top
訪問看護はまず観察に始まります。
それは目に見えることばかりではありません。

「こんにちは」
玄関を入った瞬間にわかることもあります。
例えば匂い、玄関の靴の並び方、返ってくる返事。

そしてご本人を前にして
顔色、元気、声の感じ、目の表情、などなど
数分のうちに実にいろいろなことを私たち看護師はキャッチします。

そして血圧測定や脈拍の測定をします。

私が必ずみるのは「足」です。
足は実に多くのことを教えてくれます。

高齢者の方の多くは自分で足の爪を切ることができません。
足に手が届かなくなったり、手の動きが悪くなったり、視力が弱くなったりするからです。
足の爪に関心が向かわない方もいます。

巻き爪、白癬菌(水虫)の爪、貝殻状に肥厚した爪、割れている爪
中には巻き爪の治療で抜爪された方もいました。

Tさんは93歳の女性で一人暮らしの方でした。
かくしゃくとされていて、訪問介護サービスを使いながら自分でできることは自分で
行いながら生活していましたが、足の爪が指先を包むように伸びてしまい
それが皮膚に突き刺さるような痛みで、歩けなくなってしまいました。
そこで皮膚科を受診して爪を切ってもらおうと思いましたが、
医者にあっさりと「ま、自分できりなさい」
そういわれてしまい、途方にくれてケアマネに相談し
訪問看護が開始されました。

「とにかく少しずつでいいので爪を切ってください」
10年以上も足の爪は切っていなかったそうです。
爪は指先に食い込んで、皮膚は赤く痛んでいました。
足浴をしてから、少しずつ爪を切りました。

その後、爪が食い込んでいた痛みが消えるまで
1週間ほどかかりましたが、無事に歩くことができるようになりました。

そんなわけで、私の訪問看護における3種の神器は
「爪きり」「ニッパー」「やすり(100円です!)」なのです。
そこに爪楊枝も必要です。
爪の生え際や指先と爪の間の垢をきれいに除去します。
そしてまた洗って完了です。

歩くためには、足の爪の手入れはとても大切です。
さて、これをご覧のみなさん、
ご自分の足の爪はどうなっていますか?

誰がケアしていますか?
自分でいつまで、それができると思いますか?

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2009.10.20 Tue l 介護への思い l コメント (2) トラックバック (0) l top
10月12日、医学書院主催の古武術介護“医療職のための講座「身体の使い方」”
のセミナーに行ってきました。
講師は「古武術介護」の提唱者、岡田慎一郎氏です。

今回のテーマは「身体の使い方」
まさにその通りの内容でした。

人が持つ潜在的な力を有効に使うこと。
そして、いろいろな場面で使えること。
今までの方法を否定するのではなく
その場面場面で選択したり応用したりすること。

そんなお話を伺ったあとに、さて実践です。
ここでは書ききれませんが、手の向きによって
使う筋肉が変わって、思わぬ力が発揮できます。
それは「気合」とか「念」とかそんな曖昧なものではなく
理学療法士でもある岡田氏はきちんと解剖に裏づけされた
説明をしてくれました。

私は今までにたくさんの移動・移乗のセミナーを受講してきました。
そのどれもがきちんとしたエビデンスに基づいています。
ですから、岡田氏がおっしゃるように
いいものはどんどん取り入れればいいのだと思います。
引き出しはたくさんあったほうがいい。
在宅は一個人の想像をはるかに越えた場面に出会うことがよくあるからです。

そんな時に、引き出しがたくさんあれば
その場面に最も適した方法や物をチョイスすることができます。

今回のセミナーでは具体的な介護の場面設定での実習は
なかったので、DVDつきの本を買ってきました。
映像だけでは見えにくい部分はモーションキャプチャで解説してあるので
それを観ながら、実習をしてみたいと思っています。

10月はセミナーはお休みして、今までのまとめやら整理をしようと
思っていたのですが、どうもあやしくなってきました。

さて、被験者を誰にしましょうか?
どなたか私にお付き合いくださる方がいらっしゃったら
ご連絡ください。
きっと楽しい実習になりますよ!


セミナーのお知らせです。

《褥瘡(床ずれ)予防セミナー》
11月28日(土)9:30〜12:30 
 〜褥瘡をつくらない、移動・移乗のテクニック〜
 褥瘡の一番の原因は、圧とズレです。原因を除去し、安楽な移動・移乗の方法を学びます。

《排泄ケアセミナー》
11月28日(土)13:30〜16:30
 〜いやな思いをさせない、しない排泄介助〜オムツフィッターの技を伝授!〜
 排泄介助はオムツ交換だけではありません。でもとても大事なことです。

お問い合わせはJoyCare松浦まで
tel/fax:042−738−4990
Email:matsuura@joy-care.com


2009.10.13 Tue l セミナーのお知らせ l コメント (4) トラックバック (0) l top
Iさんは病気のため、左半身の感覚に異常をきたしている。

特に毛布や布団などの掛け物に対して
まさに鳥肌がたつ時があるそうだ。
風に弱い。
とても過敏に反応する。

そのIさんへの訪問看護は主に入浴の介助である。
左半身が不自由なので湯船への出入りには苦労する。
注意してシャンプーをしないと、頭がグラグラして
気分が悪くなってしまう。

それでもお風呂に入ると身体の緊張がほぐれるから
なんとしてでも週2回はお風呂に入りたい。
お風呂の後のメニューも盛りだくさんだ。

時々背中や腕や腰を手のひら全体でゆっくりとマッサージする。

ある日、いつものようにマッサージをしていると
「私の身体は変なのよ。
 人が触れることだけは許しているみたい。。。」

ああ、その「許す」という表現、よくわかるなあ!
布団や毛布には皮膚の触覚が受け入れないのに
人の手が触れることは大丈夫なのだ。

手の平の温かさ。
手の平の柔らかさ。
そっと置かれた手の平からは何が伝わっているのだろうか。

トランスファのセミナーの時、私が必ずお話するのは
手の平全体を使ってね、ということだ。
同じ圧力でも、指先と手の平では全く違う。
狭い一点の圧力と大きな面積での圧力では
圧力が分散されるから、痛みから心地よさに質が変化する。

そして手の置き方。
圧力だけの問題ではないことは確か。

Iさんのその言葉を聴きながら
Iさんの苦痛を思い
優しさを思い
思わず熱いものがこみ上げた
ある秋日和でお風呂日和の日のこと。

2009.09.18 Fri l 介護への思い l コメント (0) トラックバック (0) l top